仏教



仏教(ぶっきょう、Buddhism)は、ゴータマ・シッダッタ(釈迦)を開祖とする宗教。キリスト教イスラム教と並んで世界三大宗教のひとつ(信仰のある国の数を基準にした場合)である。仏教とは一般に、仏陀の説いた教え、仏(仏陀、覚者、真理に目覚めた人、如来)の宗教、また、仏に成るための教えであるとされる。なお、近世では広く釈迦を開祖とする宗教のことを指すようになった。 漢文学者の諸橋轍次は、中国語の「沸」の字が「水にして水に非ず」を意味する如く、否定のニュアンスを持つ旁の部に人偏で、「佛」という語には「人にして人に非ず」の意味があると解釈している。仏教の歴史においては仏教の開祖釈迦をさす。仏陀とは仏教の教理上では、悟りには普遍性があるが故に、広く修行者によって達成可能な目標とされている。 仏教と同じ意味を表すのに、「法 (仏教)|仏法」または「仏道」の語が多く用いられる。法 (仏教)|法とは真理、教えのことである。とは菩提、究極の真理のことである。仏教徒にとり、法 (仏教)|法は、仏陀|仏とともに三宝のひとつであり、大事にしなければならぬ宝物の如き存在である。仏教で教とは仏陀となった釈迦の教えをいい。仏法の法とは、仏教教義で定められているとされていること又はものを言う。三宝という場合の法は経典およびその経典に記された仏教教義そのものを言う。そして仏道とは修行者が悟りを得てゆく過程としての道、または仏教に帰依した者としてのあるべき生き方を意味する。 --> = 宗派 = おおよそ次の2つに大別される。詳細は個別の項を参照。
上座部仏教(小乗仏教上座部仏教は、以前は大乗仏教側から「自己の救いのみを目的とする」として蔑まれ小乗仏教と貶称されていた。
大乗仏教 = 分布 =

言語圏

伝統的に仏教を信仰してきた諸国、諸民族は、経典の使用言語によって、サンスクリット語圏、パーリ語圏、漢訳圏、チベット語圏の四つに大別される。パーリ語圏のみが上座部仏教で、のこる各地域は大乗仏教である。 ;サンスクリット語圏:
ネパールインドベンガル仏教新仏教等) ;パーリ語圏:タイ王国|タイミャンマー|ビルマスリランカカンボジアラオス等。 ;漢訳圏:中国台湾大韓民国|韓国日本ベトナム等。 ;チベット語圏:チベット民族チベットブータンネパールインド等の諸国の沿ヒマラヤ地方に分布)、モンゴル民族モンゴル国、中国内蒙古ほか、ロシア連邦のブリヤート共和国)、満州民族、トルコ系のトゥヴァ民族(ロシア連邦加盟国)等。

信徒数

各大陸の仏教徒数は次のとおり。 # アジア - 4億人 # 南北アメリカ - 360万人 # ヨーロッパ - 180万人 # オセアニア - 40万人 # アフリカ - 8万人 このように、世界宗教とはいえ、アジア(特に東アジア・東南アジア)に片寄って分布している。 仏教徒が1千万人以上いる国は次のとおり。 # 中国 - 1億人 # 日本 - 9千万人 # タイ - 6千万人 # ベトナム - 4千万人 # ミャンマー - 3800万人 # スリランカ - 1400万人 # カンボジア - 1200万人 # 韓国 - 1100万人 (英語版 w:Buddhism by country|Buddhism by countryより - 現時点は違う数値を示している) = 教義 = 仏教の教えの基本は、三法印(3つの根本思想)である。(三法印に一切皆苦を付加し、四法印とする経典もある) # 諸行無常 - 一切の形成されたものは無常であり、縁起による存在としてのみある # 諸法無我 - 一切の存在には形成されたものでないもの、アートマンのような実体はない # 涅槃寂静 - 苦を生んでいた煩悩の炎が消え去り、一切の苦から解放された境地が目標である # 一切皆苦 - 一切の形成されたものは、苦しみである 釈迦の悟りの内容は、四諦縁起及び無我である。以下にその関係を整理された十二支縁起を示す。 # 無明(無知) # 行 (仏教)|行(潜在的形成力) # (識別作用) # 名色(心身) # 六入(六感覚器官) # (接触) # (感受作用) # (渇愛) # 取(執着) # 有(存在) # (出生) # 老死(老いと死) これは、なぜ最大の苦である「老死」の不安の下で生きているのかの由来を示すと同時に、「無明」の状態を覚醒する事により、「老死」が克服されるという根拠も示している。 このように仏教では、救いは超越的存在(例えば)の力によるものではなく、個々人の実践によるものと説く。すなわち、釈迦の実体験を最大の根拠に、現実世界で達成・確認できる形で教えが示され、それを実践することを勧めている。 なお、仏教でのは、六道を輪廻する一切衆生の一部をなし、輪廻という苦の中にある点では、他の衆生と同様、特別な存在ではない。悟りを得たとされている釈迦も仏教の開祖ではあるが一人の人間であり、既述の通り、セム・ハム語族|セム・ハム系(特にセム語族|セム系)の唯一神のような全能な人格・超越者ではなかったし、釈迦自身も、神を自称することはなかったし、神について教えてもいないのである。 その教えから根底にニヒリズムがあるように思われがちだが、煩悩を滅することによりこの世の現実の姿(実相)を感得しようとするもので、自己否定をするものではなく一切を肯定しようとする面が強い。

上座部仏教

上座部仏教の目的は、個人が自ら真理法 (仏教)|法)に目覚めて「悟り」を得ることである。最終的には「自分として執着している自我(アートマン)は実体ではない(無我)」と覚り、の束縛から解放されること(=解脱)を求めることである。一般にこの境地を涅槃と呼ぶ。 上座部仏教では、釈迦を仏陀と尊崇し、その教え(法 (仏教)|法)を理解し、禅定などの実践修行によって悟り|さとりを得、煩悩をのぞき、輪廻苦 (仏教)|苦から解脱して涅槃の境地に入ることを目標とする。

大乗仏教

大乗仏教では、悟りを得ることはこの世の全てのもの(無常なもの)は空 (仏教)|空であること(色即是空)を知る手段に過ぎないとし、空を五感で体得することを最終的な目標とする。空は十二支縁起に説明される煩悩と潜在力(業)を捨て去ることで得られるという。 さらには自身の涅槃を追求するにとどまらず、苦の中にある全ての生き物たち(一切衆生)への救済に対する誓いを立てること(=誓願)が主張されるが、特にこの「利他行」の強調が大乗仏教を上座部仏教と区別する指標として重要視される。 さらに、道元のいう「自未得度先度佗(じみとくどせんどた)」(『正法眼蔵』)など、自身はすでに涅槃の境地へ入る段階に達していながら仏にならず、苦の中にある全ての生き物たち(一切衆生)への慈悲から輪廻の中に留まり、衆生への救済に取り組む面も強調・奨励される。 『般若経』は大乗仏教の根幹をなす教典である。ただ、日本や朝鮮といった大陸、中国を経由した仏教は色濃く道教などの影響を受けており、純粋な大乗仏教に最も近いのはインドに近かったチベットのものである。また、日本の仏教は神道との習合も見られる。 = 歴史 = 紀元前5世紀頃に釈迦が現在のインド北部ガンジス川中流域で提唱した(初期仏教)。 釈迦が死亡(仏滅)して後、出家者集団(僧伽、サンガ)は個人個人が聞いた釈迦の言葉(仏典)を集める作業(結集)を行った。仏典はこの時には口誦によって伝承され、後に文字化される。 仏滅後100年ごろ、僧伽は教義の解釈によって上座部大衆部の二つに大きく分裂する(根本分裂)。時代とともに、この二派はさらに多くの部派に分裂する。この時代の仏教を部派仏教と呼ぶ。 部派仏教の上座部の一部は、スリランカに伝わり、さらに、タイなど東南アジアに伝わり、現在も広く残っている(南伝仏教)。 紀元前後、在家者と釈迦の墓(仏塔、ストゥーパ)の守護者たちの間から、出家することなく在家のままでも仏となる教え(大乗仏教)が起こる。この考え方は急速に広まり、アフガニスタンから中央アジアを経由して、中国・韓国・日本に伝わっている(北伝仏教)。 7世紀ごろベンガル地方で、ヒンドゥー教の神秘主義の一潮流であるタントラ教と深い関係を持った密教が盛んになった。この密教は、様々な土地の習俗や宗教を包含しながら、それらを仏を中心とした世界観の中に統一し、すべてを高度に象徴化して独自の修行体系を完成し、秘密の儀式によって究竟の境地に達することができ仏となること(即身成仏)ができるとする。密教は、インドからチベット・ブータンへ、さらに中国・韓国・日本にも伝わって、土地の習俗を包含しながら、それぞれの変容を繰り返している。 8世紀よりチベットは僧伽の設立や仏典の翻訳を国家事業として大々的に推進、同時期にインドに存在していた仏教の諸潮流を、数十年の短期間で一挙に導入した(チベット仏教)。その後チベット人僧侶の布教によって、チベット仏教はモンゴルや南シベリアにまで拡大していった。 仏教の教えは、インドにおいては上記のごとく段階を踏んで発展したが、近隣諸国においては、それらの全体をまとめて仏説として受け取ることとなった。中国および中国経由で仏教を導入した諸国においては、教相判釈により仏の極意の所在を特定の教典に求めて所依としたり、特定の行(、密教など)のみを実践するという方向が指向されたのに対し、チベット仏教では初期仏教から密教にいたる様々な教えを一つの体系のもとに統合するという方向が指向された。 現在の仏教は、かつて多くの仏教国が栄えたシルクロードが単なる遺跡を残すのみとなったことに象徴するように、大部分の仏教国は滅亡し、世界三大宗教の一つでありながら仏教を主要な宗教にしている国は少ない。玄奘が訪れた時点ですでに発祥国のインドでは仏教が廃れており、東南アジアの大部分はヒンズー教、次いでイスラム教へと移行し、東アジアでは中国・北朝鮮は共産化によって宗教は禁止され、韓国は李氏朝鮮による激しい弾圧の後現在はキリスト教に移行し、わずかに日本とタイ、スリランカに残るのみである。近年でもタリバーンによる石窟爆破などがあった。 しかしインドにおいては、ビームラーオ・アンベードカル|アンベードガルにより、1927年から1934年にかけて仏教復興及び反カースト制度運動が起こり、20万あるいは50万人の民衆が仏教徒へと改宗した。また近年においてもアンベードカルの遺志を継ぐ日本人僧・佐々井秀嶺により運動が続けられており、毎年10月には大改宗式を行っているほか、ブッダガヤの大菩提寺の奪還運動や世界遺産への登録、仏教遺跡の発掘なども行われるなど、本格的な仏教復興の機運を見せている。 各地域の仏教については以下を参照。
紀元前5世紀頃 - インドで仏教が開かれる(インドの仏教
紀元前3世紀 - セイロン島(スリランカ)に伝わる(スリランカの仏教) 
紀元後1世紀 - 中国に伝わる(中国の仏教
4世紀 - 朝鮮半島に伝わる(韓国の仏教
538年(552年) - 日本に伝わる(日本の仏教
7世紀前半 - チベットに伝わる(チベット仏教
11世紀 - ビルマに伝わる(東南アジアの仏教
13世紀 - タイに伝わる(東南アジアの仏教)
13~16世紀 - モンゴルに伝わる(チベット仏教)
17世紀 - カスピ海北岸に伝わる(チベット仏教)
18世紀 - 南シベリアに伝わる(チベット仏教) 「にんげん」とは、人の間と書く。「間」とは世間とか仲間という意味である。仏教の生まれた時代のインドでは、衆生は五趣(天、人、餓鬼、畜生、地獄)を輪廻すると信じられており、人はこの中の1つの世界に偶々生まれているに過ぎないのである。そして、この五趣輪廻の苦から解脱して永遠の安寧を得る事は出来ないとされていた。仏教は衆生がこの苦から解脱するための処世的な側面を持って開かれたのである。五趣はやがて大乗仏教の時代になると、天の中の闘争的な性格を具する阿修羅を人の下に置いて、六道というようになった。 天台宗などでは、さらに天の上に声聞縁覚菩薩の四を加え、十界の教義を立てた。これによって善業を積んで転生しながら、次々と上の世界に生まれていけば、終に仏になり輪廻から解脱するという階梯が出来たのである。言い換えれば、人間は悟りへの途中の状態にあるという事が出来る。 さらに、人間誰もが仏心という心(仏性)を持っており、それを煩悩が取り巻いているために仏心が顔を出す事が出来ないという、本覚(ほんがく)という考え方も言われる。 『大正大蔵経』を創った高楠順次郎は「人間は未完成の仏である。仏は完成された人間である。」と表現している。 --> = 文化 =

仏像・念仏

初期仏教では、具体的に礼拝する対象はシンボル(菩提樹や仏足石金剛座)で間接的に表現していたが、ギリシャ・ローマの彫刻の文明の影響もあり、紀元前後にガンダーラ(現在のパキスタン北部)で直接的に人間の形の仏像が製作されるようになった。これは、一説では釈迦亡き後の追慕の念から念仏が起こり、さまざまな三昧へと発展する過程で、その拠りどころとして発達したと考えられている。現在は如来菩薩明王護法善神など、さまざまな礼拝対象がある。一般的な仏教(顕教)では、仏像自体は宗教的シンボルとしてのみ意義がある。 しかし後期大乗仏教の『大毘盧遮那成仏神変加持経』(大日経)では、本尊という概念を導入し、自身と一体になる対象として扱われる。 = 脚注 = = 関連項目 =
仏教用語一覧
悟り

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山伏
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